すやすやと眠るキラ。
花のように儚げで、華奢な体。
人形のように綺麗で美しい、白い肌と長い睫。
触るとさらさらと滑り落ちる、マロンブラウンの髪。
お前が纏うのは、紅い軍服。
そして、今伏せている目の色は、
人を惹きつけて離さない、
紫紺の瞳…。
運命
プラントで休暇をいただいたクルーゼ隊は、やることもなくみんな宿舎に残っていた。
しかし、キラの幼馴染みであるアスランは婚約者であるラクスの元に出かけていた。
まぁ、俺はあいつが嫌いだからどうでもいいのだが…。
けれど、そのアスランが居なかったからこんな偶然があったのかもしれない…。
キラと出会ったのは…。
いつもはアスランが一緒にいて、声をあまりかけたことのないキラが、
パイロット専用の宿舎にある庭で、木の隙間から零れる木漏れ日を浴びながら、
すやすやと寝息を立てて寝ていた。
「なんで、こいつがこんなところで寝てるんだ…?」
少し疑問に思いつつも、一向に目を覚まさないキラを呆然と見下ろしていた。
キラが寝ている様子からすると、きっと本でも読んでいたに違いない…。
胸の辺りに開いたままの本を乗せながら寝ていたから…。
「…ったく。おい!こんな所で寝ていたら風邪を引くぞ。」
肩を揺すってやると、キラは目を覚ましてぼやけた視界の中、
一度こちらを見た。
「…アス…ラン…?」
その言葉に少しカチンと来た。
まさか、目の前に居る自分を一番大嫌いなヤツと間違えるとは思わなかった。
一緒に居る時間が長い為いつも起こして居るのはアスランなのだろう。
その慣れの為なのか?こいつが俺を間違えたのは。
「俺は、イザークだ。あいつは婚約者の所に出かけただろうが。」
そう言うと、キラは可愛らしく目を擦って再度こちらを見た。
「…イザー…ク?」
確認するように言われて。
「そうだ。」
と、すぐ答えてやった。
すると、突然目がバッチリ冷めたかのようにキラは飛び起きた。
「うわあ!!!ごめん!!」
目の前に居る人物をアスランと間違えたことに謝るキラ。
そして、慌てて本を畳むと逃げるように去ろうとした。
「なぜ逃げる?」
その手を逃げないよにしっかりと掴んで、
キラを手繰り寄せる。
「べ…別に!!間違えたこと申し訳なくて…。」
素直に答えを言ったキラになんとなく笑みが零れる。
すると、キラは顔を真っ赤にして固まってしまった。
「…?どうした?」
キラは下を向いてこちらを見ようとしない。
一体どうしたのか全然見当もつかない。
そういえば、自分はなぜこんなにキラを構っているのだろうか?
起きた時にすぐに逃げられるのも腹が立つが、
行くのなら行かせてやればいいだけであるし、
手を掴んで逃がさないようにすることもない。
まして、何故こんなにキラに今、興味を持っているのかも理解不能だ。
こいつはきっとアスランのものだろうし、
自分の印象なんて最悪に違いない。
それは、最初に会った時の反応から窺えたからな…。
キラに初めて会った時、こいつはアスランと一緒だった。
理由は簡単。
軍に入ったばかりだったし、
まだこの雰囲気に慣れていないこともある。
だから、自動的に幼馴染みのアスランを頼って、
行動を共にしているのだろう。
『キラ、彼は君と同じパイロットのイザークだよ。』
アスランが俺をキラに紹介した。
『…これからよろしくな。』
そう言って、目を合わせたが、
キラは突然アスランの後ろに隠れてしまって、
顔を合わそうともしなかった…。
『キラは、怯えちゃったのかな?』
アスランは後ろに隠れているキラを見ながらそう言った。
『イザーク、すまないな。これで失礼するよ。』
そして、呆然と二人を見送った。
それから何度も会ったが、キラは逃げていくばかりだった。
だから、もう自分は嫌われて居るのかも知れないと思っていた。
しかし、何故そんなに嫌われているのか分からない…。
「前々から聞きたかったんだが、お前は俺が嫌いなのか?」
そう言うと、キラは驚いた顔をしてこちらを見た。
俺はついつい考えていたことが口に出たことに少し驚いた。
それなりに自分も気になっていたんだろうか?
しかし、キラの返事は返ってこない…。
(…図星…か…?)
だったら、今聞いたので余計気まずくなるだけだろう。
俺は、掴んでいた手を離した。
もし、嫌いなのなら手を握った事さえ迷惑だったろうな。
「いや、変なことを聞いてすまなかったな。
それじゃ、失礼する。今度はこんな所で寝るなよ。」
そう言って、立ち去ろうとした。
しかし、キラの横を通り過ぎた時、
服を引っ張られる感覚がした。
「…ん?」
振り返って見ると、キラが俺の服を握り締めていた。
「…何だ…?」
すると、キラも驚いた顔をした。
まさか、自分が無意識に掴んでいるとは思わなかったのだろう。
「あっ…。ごめん…、つい…。」
また俯いてしまった。
しかし、俺は気付いてしまった。
自分が何故こんなにもキラに興味を持っているのかを…。
そう、キラが好きなのだ…。
出会った時から、すでに自分はキラに興味を持ったのかも知れない。
答えが出てしまえば、もう簡単だ。
だが、この思いはキラには届きはしないだろう…。
こいつは俺が嫌いだし、それにアスランのものだろうから。
(あいつにはイロイロなものを取られてるな…。)
エースの座も、キラも…。
しかし、それも仕方ないのかもしれない。
アスランは、何事も人より出来るし、人当たりも良い。
プラント中の女があいつに惹かれるのも分かる。
そして、幼馴染みであるキラも…。
アスランが愛情を持って接しているのだからきっとそれを受け入れて、
お互い恋人同士に違いない。
「……じゃない…。」
「…え?」
キラが何か呟いたが、あまりにも声が小さくて聞き取れなかった。
「…なんだ?」
すると、顔を上げて初めて目を合わせた。
透き通るような紫紺の瞳がしっかりとこちらを見据えている。
「イザークのことは嫌いじゃないよ…。」
その言葉に拍子抜けする。
ならあの態度は何だったのだろうと思う。
「なら、何故避ける…。」
すると、顔を紅くしながら答えた。
「だって、イザークとってもカッコイイんだもん…。」
返ってきた意外な答えに唖然とする…。
今まで避けていたのはそれなのか?と思わんばかりに…。
「とっても、カッコイイから目を合わせ辛くって、
それに……だから。」
また重要なとこが声が小さくて聴こえない。
だから、また同じように何だ?と聞いてしまった。
「好きなの!!イザークが!!」
その答えに驚く。まさか、と思った。
「いつ好きになったんだ?それにお前アスランと付き合っているはずじゃ…。」
俺の発言に今度はキラが驚く。
「そんな!?アスランとは付き合ってるわけないじゃないか!!
アスランとは幼馴染みだからイロイロ教えてもらってただけだよ!!
それに、アスランにはちゃんとした婚約者のラクスさんが居るじゃない!!」
そして、その発言が終わった後、キラは。
「イザークは、初めて会った時に好きだったんだよ…。
アイスブルーの瞳がとっても綺麗で、
ひ…一目惚れだった…の…////」
俺は何故か笑ってしまった。
キラは、顔を紅くして恥ずかしがってしまっていた。
これは、お互いに一目惚れ…。
それは、運命だったのかもしれない。
だから、俺もその気持ちに答えよう。
「俺もお前に一目惚れしたんだよ…。
だから、俺もお前が好きだ。」
すると、キラは腰が抜けたかのようにぺたりとしゃがみ込んだ。
「…嘘。」
「本当だ。」
そして、二人でその木漏れ日の中、
楽しい一時を過ごした…。
なんかイザキラ書いてて楽しい…。
また懲りずに書こう…。
ってか、これイザ寄りかも。
でも、まぁいいや。
王子のセリフは書いてて楽しいから(笑)
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