今日は七夕の日。

僕はAAの中で、みんなが書いた短冊を見ていた。



そして、宇宙空間を眺め、

煌めく天の川を見る。












「僕の願いが叶いますように…。」
















七夕










それはマリュー艦長の一言から始まった…。






「そう言えば、もうすぐ七夕ねvv」



クルー全員は突然何を言い出すんだこの人は、

という顔で艦長を見た。

艦長は至って笑顔のままウキウキとしていた。

疑問に思った僕は尋ねる。



「え…っと、あの…?七夕がどうかしたんですか?」



すると、艦長は更に笑顔で、



「せっかくだし、皆でお願い事書いて短冊に飾りましょvv」



と、言ったのだった。

その一言で、みんな溜め息をついたが一応書く紙を受け取った。



しかし、以外にみんな願い事は真剣に書いていたようで、

書き終わったら嬉しそうにしていた。









だけど、困ってしまたのは僕である。



「願い事が書けない…ιι」



案の定書くことに迷ってしまったのだった。



しかし、答えを書くのは簡単だと思う。

普通に行けば、『戦争の早期終結』や『和解による平和』、

その他にも『早く平和になりますように』など、

この戦いに対することを書けばいいはずだ。

他の人たちのも教えてもらったりもしたけど、

大抵みんなそんなことを書いていた。

中には『早く家族みんなと幸せに暮らせるように』と、

書いていた人もいた。








僕にも中立国オーブに居る両親の為に願えばいいのに、

それでもそれ以外の願いがあって、

どうしようか迷っていた。



「これ書いちゃダメかな…?」



キラの願いごとはある。

それは、








『親友であるアスランとまた笑顔で一緒に居たい。』








と言う、儚いけれど叶わないと分かりきっている願い。

それは、自分が地球軍を。

友達を裏切ってアスランのところに行ってしまえば簡単なのであるが、

逆に、友達を裏切ってしまえば、

彼らはいつかザフト軍に落とされてしまう可能性がある。






『友達が死ぬのは嫌だ。』






その願いがキラをここに留まらせてしまっているのだった。



「友達を死なせたくない。でも、君の傍に居たいんだ…。」



キラは決心し、その儚い自分の願いを書いた。

それは誰にも見られないようにひっそりと高い位置に飾って…、

それを寂しそうにキラは眺めたのだった。





キラは宇宙空間を眺め、

天の川を見る。

そして強く願う。



「僕の願いが叶いますように…。」
































その頃、戦艦ヴェサリウスの方でも七夕気分の真っ只中だった。

もちろん発案者は隊長であるクルーゼの発案だ。



「ニコルは何を書いたんだ?」



アスランがニコルの短冊を覗き込む。

すると、『演奏会がまたできますように』とニコルらしいことが書かれていた。



「アッ…アスラン!!見ないでくださいよ!!」



とても慌てふためくニコル。

アスランはごめんごめんと謝ると、次の短冊を見ようとした。



「イザークは?どんな願い事書いたんだ?」



イザークの短冊を見つけると、そこには達筆な字で、

『打倒アスラン!!』と、書かれていた。

アスランはそれを見て、一瞬固まってしまった。



「俺様の短冊はいいだろう?これが俺の目標だ。」


イザークは必ず叶えてやらんとばかりに意気込んでいた。

アスランはそんなイザークを見て。



「叶うといいね…ιι」



と、苦笑いをして返した。

そして、最後にディアッカの短冊を見る。

それには、『戦いに勝つ。』と、彼なりの信念が書いてあった。



「おっ。俺の見てんの?」



ディアッカがひょっこりと顔を覗かせた。



「あぁ。これは?他に願い事なかったのか?」



するとディアッカは特に願い事なんて思いつかなかったからと言った。

アスランはそうなのか、と一人心の中で思った。



「そういうアスランは何を書いたんです?」



と、ニコルがどアップで前に現れた。

まだ短冊が飾られていないアスランの書いたものが気になるのか、

ワクワクしながら飾るのを待っていた。

アスランは引き攣った顔になると、



「俺のは見ても意味ないよ…ιι」



と、偉く見せたくないオーラを放っていた。

しかし、イザークが、



「俺たちのは見ておいて自分のは見せない気か?」



と、釘を刺した。

アスランはうっ、と黙り込むと大人しく飾ることにした。

しかしあまり見られないように、ジャンプして高いところから取った枝に付けた。



「あっ!!ずるいです!!僕は見れないじゃないですか!!」



この中で一番背の低いニコルは、自分が見れなくなってしまうことに文句を言う。

しかし、アスランより少し背の高いイザークが得意気に、



「俺は見えそうだな。」



と、言って、少し背伸びをしてその短冊を覗き込む。

そのアスランが書いた短冊には、



『どうかキラと一緒に居られるようになりますように。』



と、書かれていた。

イザークは?マークがたくさん飛んだ。



「おい、アスラン。このキラと言うヤツは何者だ?」



その質問にアスランはドキッとして固まる。

しかし、正直に敵側に居るパイロットが自分の友達だ、

などど言えないのでなんとか誤魔化そうとする。

そして、アスランは咄嗟に、



「プラントに居る仲の良い友達なんだ。」



と、本当はそうなっていて欲しかった願い事を言った。

イザークは一瞬驚いたが、



「そうなのか。お前そんな友達が居たのか。」



と、以外そうな顔をしてそう言った。

アスランは笑顔だったが少し寂しさを含んだようなものだった。

そして、アスランは、AAから宇宙の星を見ているキラと同じように自分も宇宙を見た。



「…キラ…。」



それは誰にも聞こえないぐらい小さな声であった。



























キラは、突然回りを見渡した。

アスランの呟いた言葉がまるで届いたかのようにキョロキョロとする。

そして、何故か胸がドキドキして、キラは慌ててストライクへと向かった。

キラは、誰にも気付かれないようにそっとコックピットに乗り込む。






丁度みんなは終身時間を迎えていたし、

敵が近づいたらアラートが鳴るようにセットしてある。

だから大きな物音さえ立てなければ大丈夫だろうと思った。

そして、パソコンでAAにハッキングすると、

ハッチをこっそりと開いてアラートが鳴らないように細工した。

その後、キラはエールを装備すると、宇宙へと飛んで行った。



















そして、それはアスランに伝わったような感じがした。

突然ざわざわと胸騒ぎがしてアスラン弾かれたように走り出した。



(キラ…?)



その思いが強くなって、素早くイージスに乗り込む。

そして、他のクルーの静止も聞かず、もの凄いスピードで飛び出し、

レーダーでは見つからないほどの距離へと消えた。





















それからしばらくして、

二人は互いの機体をレーダーに感知した。

キラの画面にはX−303イージスと、

アスランの画面にはX−105ストライクと表示される。

二人はゆっくりと速度を落とし、ぶつからない程度に距離を取るとハッチを開いた。



「キラ!?」



アスランは今この状況が信じられないと言わんばかりに驚いている。



「アスラン!!」



キラはやはり来てくれると信じていた親友に、胸の高鳴りを抑えながらも

宇宙空間に飛び出し、イージスのコックピットに辿り着いた。



「どうしたんだ!?一体!?」



アスランはやはり吃驚しているようだ。

キラをコックピットに招き入れつつも、

彼の行動が信じられずにいた。

キラは、涙目になりつつも自分の気持ちを伝える。



「あのね。僕、七夕の短冊の願い事が叶ったらいいなって思ってて、

 ぼーっと、宇宙空間を眺めてたんだ。

 そしたら、アスランの呼ぶ声が聞こえたような気がして、

 それで、居てもたっても居られなくなって飛び出してきたの。」



そのキラの会いたかったという気持ちに、

アスランはなんだか涙出てきた。

キラも同じことを願っていてくれたのだという事がとても嬉しかったから。

そして、愛しく思う気持ちが広がった。



「キラ…。」



その温もりをぎゅっと抱きしめて、確かにここに居る事を確認する。



「アスラン…。」



キラもアスランがここに来てくれたことを実感する。

そして無言のまましばしお互いの温もりを感じ合う。











その後、口を開いたのはキラだった。



「僕は友達を見捨てられない、でも君が大切な事は確かだよ。」

「あぁ、俺もだ。」



嬉しそうにはにかんで、今という時間に感謝する。

アスランはキラに自分の願いを伝える。



「今は、敵だけど二人で必ず生き残ろう。

 そして、戦争が終わった時にはまた二人でずっと一緒に居よう…。」



キラは、涙を流しながら何度も頷いた。










そして、またしばらく無言になって、キラはふと思った。



「ねぇ、アスラン。」



その今の時間を充実した気分でキラが言う。



「なんだいキラ?」



嬉しそうにアスランが答える。

キラはふふっと笑うとアスランに言った。



「僕たちまるで織姫と彦星みたいだね…。」



アスランは、確かにそうかもっと思った。




二人は一本の線を挟んで離れ離れになっている。

ザフト軍と地球軍。

プラントと地球と言ったもので。



でも、今日と言う特別な日に二人は会うことができた。

それは、まるで天の川を挟んで今日だけ会うことを許された

織姫と彦星のようだと思ったからだ。

そして、アスランは再度気持ちを伝える。



「キラ、大好きだよ…。」



その言葉に幸せそうに、キラも答える。



「僕も、アスランがだぁい好き…。」















そして、二人は残り少ない夜の時間を共に過ごした……。

今日の二人だけの甘い余韻を噛み締めながら…。































次会うときは戦場で…。



しかし、必ず生き残ろう…。



いつか二人で過ごせる日々を夢見て……。





















七夕の日が近かったから書きたかったネタ。
王子の小説でなくてごめんなさいιι
ちょっとアスキラ現在好きだから…。
何だか過酷な恋愛してる二人が書きたかったのよ…。
これ結構お気に入りですvv






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