君の笑顔はたった1人のみに向けられる。

俺がどんなに望もうとも君の笑顔は得られない。

何故『彼』だけなのだろう。

むかつく。

イライラする。

『彼』にあって、俺に無いものはなんだろう?

それさえ見つければ君は俺にも多少でも微笑んでくれるだろうか?

最高のコーディネーターであるキラ・ヤマトは…。








特別










俺はシン・アスカ。

軍の特殊部隊に所属するMSパイロットである。

特殊部隊と言ってもテロや反政府組織などが戦争を起こそうとする場合に出動する部隊である。

まぁ、今は世界が平和だから毎日毎日戦ったりすることはない。

地球とプラントやコロニーの政治を統治するカガリ・ユラ・アスハの影響力が凄いからだろう。

そして、その補佐をしているのが宇宙の歌姫ラクス・クラインである。

求婚者が後を絶たないのだが一度も首を縦に振ることは無いらしい…。

何でも好きな人が居るとか居ないとか…。

だからとりあえず世界は平和なのだ。






そして、俺がキラ・ヤマトと出会ったのはその特殊部隊に所属された時であった。

綺麗な栗色の髪をしていて、アメジストの瞳を持っているとても男とは思えない人だ。

彼の美貌には不思議な色気がある。

だが芯はしっかりしている人でまじめで勤勉な人である。

MS乗りでは最強と言われ、右に出るものはいなかったらしいが、

どういう心境の変化なのかOSなどの整備士に転向したらしい。

いつもつなぎを着て工場の中をあちこち走り回っている。

緑の鳥を肩に乗せて…。






しかも、人当たりもいいのか友人もたくさん居る。

兄妹であるカガリ議長とはもちろんのこと、

歌姫のラクス・クライン。

違う部隊の隊長のイザーク・ジュール。

副隊長のディアッカ・エルスマン。

指揮官のマリュー・ラミアス。

同じく指揮官のアンドリュー・バルトフェルド。

世界屈指のカメラマンのミリアリア・ハウ。

など、他にもまだまだたくさん居る。

とにかく顔が広いのだ。

俺と同期のレイやルナマリアやメイリンも知っているくらいだし。

隠れファンとかも居るらしい…。






その中でも誰もが一目置いて仲がいいと言われている人物が居た。

特殊部隊の隊長で今の軍を仕切っているとも言われている人。


『アスラン・ザラ』である。


彼は幼い頃からの親友らしい。

肩に乗っている緑の鳥、『トリィ』と呼ばれるロボットを作って与えたのも彼と言う話しだ。

しかし、実際に良く話すところを見かけることは多い。

OSの最高責任者でもあるから話したりもするが、休憩などもよく2人でとっているようだし。

俺はそれが少し羨ましいと思っていた。






俺はキラさんが好きだ。

彼は覚えていないかも知れないけれど、

俺がこの隊に入隊した際に迷子になっているところを助けてもらったのだ。

あの時のことは今でも覚えている。






俺は新しいところに来たので多少迷子になっていた。

書類に書かれた場所に集合して挨拶を済ますことになっていたのに場所が分からないのだ。

すると、突然肩を叩かれて俺は振り返った。

そこには目に止まるほどの美しさを持った人が立っていたのだ。

その人がこちらを不思議そうに見ている。



「君、どうしたの?」

「あ…いえ…その…。」



その人を見るのに一瞬時を忘れたように呆けていたから驚いた。

それに、迷子になったなどと言えなくて俺は困った。

しかしそれを察したかのように彼は話し掛けてくる。



「君、新しく入隊してきた子だよね?」

「えっ?俺の事知ってるんですか?」



自分のことを知っていることに俺は驚いた。

俺は顔を見ても誰だかちっとも分からないからだ。



「書類送検されてきたから見たよ。MSの操縦が上手いらしいね。」

「いえ、そんな事無いですよ。」



いきなりのお世辞につい照れてしまう。

しかもちゃんと俺の書類を見て知っていてくれたことが嬉しかった。



「期待してるよ。OSの調整は完璧にしておくから。」



その言葉にあれ?っと思った。



「あの。整備士さん何ですか?」



俺の返事に逆に向こうを目を丸くしていた。



「あれ?僕のこと聞いたことない?キラ・ヤマトって言うんだけど。」



名前を聞いて驚いた。

キラ・ヤマトはOSの責任者の人だから粗相の無いようにと上の人に言われたからだ。



「すっ…すいません!!あっ!!じゃなくて…俺、顔もご存知無くて!!失礼致しました!!」



たじたじになってしまった俺を彼は優しく頭をぽんと叩いただけだった。



「知らなくてもしょうがないよ。写真とかで紹介とかしてないし。」

「はっはい。」

「まぁ、とりあえず固い挨拶は抜きで。君の集合場所は向こうだよ。」



そう指を指して教えてくれた。



「ありがとうございます!!それでは失礼します!!」



慌てて走り去っていく俺に彼は『頑張ってね』と言って歩き出していた。






その後にも何回か話す機会があってお世話になったりしたが、

彼ほど長く話してもらえることなどなかった。

しかも誰にでも同じように彼は優しく微笑むのだ。

だから誰よりも一番に微笑んで欲しいと思うようになった。

そして俺はいつの間にかキラという存在に恋をしたのだ。

彼に俺に向かって笑って欲しいと思った。

少しでも好きなってもらえるように努力しようとした。



しかし、現実はあまりにも彼が遠い存在だと認識するだけであった。









ある日、戦闘シュミレーションが終わった後に彼が廊下の向こう側に居たのだ。

その姿を見つけて俺はドキドキした。

彼が廊下の先の曲がり角を曲がったので俺もそっとついて行った。

曲がり角が近くなった時、彼の声が聞こえてきた。

胸を高鳴らせながらその角から覗き込む。



すると、そこにあった彼の姿はとても嬉しそうだった。



笑顔でくすくすと笑い、くるくると表情が変わっている。

その笑顔の先には…『アスラン・ザラ』の姿があったのだ…。

隊長と嬉しそうに話している彼はいつものただ優しいだけの存在ではなくて…。

とても会話が弾んでいるようだった…。



「アスラン。今日も忙しいの?」

「そうだな。ある程度の演習が終了すれば早めに終わると思うけど…。」

「じゃあその後カガリの家で食事会があるから来てよ♪」

「あぁ、そうするよ。キラ、頬のとこ黒く汚れてるぞ。」



アスランはそっとキラの頬の汚れを取ってあげた。



「ありがと。さっき駆動系の修理してたからね。」

「可愛い顔が台無しだな。」

「可愛いって言うな!アスランだって綺麗な顔してるじゃん。」

「俺は結構女の子にはカッコイイって言われてるぞ?」

「ちぇ〜…。いいなぁ…。」

「拗ねない、拗ねない;;」



そんな風に喜怒哀楽と表情が変わっていくのだ。






なんて俺にはほど遠い距離だろう。

アレは『親友』という『特別』な存在であるから許されることなのだ。

普段人に見せることのない表情…。

隊長が見れる特別な表情なのだ。






羨ましかった…。

出会った時間が違うだけでこれほどまでに違うものなのだと思った。

俺が今からどんなに努力してもあそこまで仲良くなどはなれないだろう。

所詮、『友達』どまりで終わるのだ。

ある意味とても悔しくて悲しかった…。






俺はその場に居られなくて立ち去っていった。

今まで彼に興味を持って欲しくて努力してきたけれどそれは無駄に終わってしまった。

でも、せめて…この思いはまだ胸にとって置きたいとは思った……。





























シンくんの片思い話。
ちょっと最近かわいそうなシンくん見ててこんなの書きたいと思った。
次回はアスキラのラブラブモノが書きたいと思ったvv
何か最近はちょっとアスランがヘタレを卒業したようなので…vv
頑張れアスラン!!
ヘタレ卒業も夢じゃないぜ!!!!!




































ここからは余談話。
あの後のアスキラ話だよvv

















「ねぇアスラン?」

「何だキラ?」

「今日は僕の部屋に来てくれるの?」

「当たり前だろ。お互い忙しくてなかなか一緒に居られないからね。」



アスランはキラをそっと抱きしめる。



「…今度カガリに頼んで二人で旅行にでも行こうか。」

「そうだな。たまには休みをもらっても大丈夫だと思うし。」

「今は世界が平和だもんね…。」

「あぁ…俺たちが戦いあったりすることは二度とないさ。」

「うん。」



そのままお互いの温もりをしっかりと確認する。

できればこのままで居たいと二人は思った。



「周りの人たちから見たら僕らってどう見えるのかな?」

「特別仲のいい『親友』なんじゃないかな??」



その言葉にキラは溜め息をつく。

自分たちはただの特別な『親友』なんかじゃなくて、

それ以上に特別な『恋人』であるのに…。

だからキラはついついこんなことを聞いてしまう。



「ねぇ?アスランは僕のこと好き?」

「う〜ん…違うかな…。」



アスランの答えにキラはもの凄く驚いた。



「えっ!?嫌いなの!?やだぁ〜。」



キラは思い切り泣き出した。

アスランは慌てふためいた。



「違う!!違う!!そういう意味じゃない!!」



キラはぐすっと泣くのをやめた。

アスランはそれにほっとする。



「違うって言うならなんなの?好きじゃないんでしょ?」

「好きは好きだよ…でもそれ以上に…。」

「それ以上に何?」



アスランはキラをぎゅっと抱きしめる。

キラは次の言葉を待つ。



「愛してる。好きって言葉じゃ足りないくらいにね。」



その言葉にキラは真っ赤になった。



「…そうならそう言ってよ…。」

「…ごめん。」



そして不安にさせた分だけキスをした。






すると、突然。



「アスラン!!キラを1人占めしないでくださいな。」



2人は驚いて振り向いた。



「「ラクス!?」」

「はいvv」



唖然とした表情でラクスを見つめる。



「セコイですわよ?私の目の届かないところでこんな密会をしているなんて。」

「セコイなんて。キラは俺のなんですから当たり前です!!」



キラはまだ唖然としていた。



「私がキラを好きなのはアスランもご存知でしょう?例えキラがあなたを好きでも諦める覚えはありませんわ。」

(ったく…なんてしつこい…。)

「今なんて言いましたか?」

「いっいえ…別に何も。」



アスランは瞬時に身の危険を感じた。

ラクスは気にせずキラに歩みよる。



「キラ、今日のお食事会私楽しみにしていますわねvv」

「う、うん…。」

「キラが幸せなら私は構いません。でもキラを思う気持ちはまだ持っていても構いませんよね?」

「ありがと。ラクス。」

「はいvv」



そうしてその後時間が無くなった3人は散り散りに仕事に戻って行った。

その夜、2人がどうなったのかは秘密のまま……。













発見してくれた方vvありがとうございます。
まぁ、見つけて当たり前ですよね;;
明らかロールオーバーがおかしいもん。
でも楽しんでいただけたでしょうか?
またこんな感じにアスキラ書きたいと思ってるので楽しみにしててください。
それではまた。


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