ねぇイザーク?
どうしてそんなに怒ってるの?
僕が何かしちゃったの?
その理由がわからなくて、
僕はイザークを見つめるだけになっているの…。
お願いだから怒らないで?
僕が一生懸命イザークの愛に応えるから…。
嫉妬
その変化に気づいたのは、
彼の瞳が寂しそうに曇っていたからだった…。
「キラ!!こっちこっち!!」
アスランの声が艦内の廊下に響き渡る。
隊長に召集をかけられたが、
いつまでたっても来ない自分をアスランが探しにきていた。
「ごめんアスラン。
OSの書き換え作業をしていたから、
召集がかかったのわからなかったんだ。」
一つの物事に集中してしまうと、
他のことに気が回らないキラは、
すっかり召集がかかっていることなど気づいていなかった。
「キラが聞き逃すのもしかたないね…。」
そんなキラを笑って仕方ないと言ってくれるアスラン。
小さい頃からの幼馴染みだから、
キラの性格を良く知っている人物である。
いつもキラのことを何かと面倒見てくれるアスランの存在は、
キラにとっては心地いいものだった。
「本当に呼びに来てくれてありがとう。」
そう言うと、どういたしましてと言ってくれた。
そして、急ぎの収集だったので、
アスランは僕の手を掴むと急いで収集場所に向かった。
ブリッジに着くと、他のパイロットである、
イザーク、ニコル、ディアッカの3人が待っていた。
ニコルは笑顔で駆け寄って来て、
ディアッカは台の上に雑誌を読みながら座っていた。
イザークは壁に寄りかかりながらこちらを見ている。
キラは、イザークの視線に胸がドキドキした…。
自分とイザークは恋人同士で、
愛し合っている…。
だけど、まだニコルやディアッカしか知らなくて…、
イザークが嫌いな人物である幼馴染みのアスランにはまだ教えていなかった…。
何だか知ってほしくないらしい…。
僕は何故何だかちっとも分からないんだけど…。
ふとキラがイザークの方に視線を寄越したが、
イザークはすぐに視線を逸らしてしまった。
キラはどうしたのか分からなくて、
少々悲しい気持ちになってしまった。
(イザーク…?どうしたんだろう…。)
だけど、その心配を見破るかのように、
アスランがキラの前に顔を見せる。
「キラ?どうしたの?隊長に遅れたこと報告しないの?」
自分が遅れてしまっていたことを思い出すと、
キラははっとして隊長に謝罪に行った。
「隊長!!遅れてすいません!!」
「いや、大丈夫だ。時間はまだたくさんあるからね。」
作戦の時間までまだあることをクルーゼは告げると、
キラはほっとした。
「よかった。」
キラは今度からは気をつけようと再度心に決めた。
だが、キラがクルーゼに謝罪している間、
アスランとイザークの間では喧嘩の火花が散っていた。
「キラは俺のものなんだから手を出さないでくれる?」
アスランはイザークにはっきりと告げる。
イザークは少し不機嫌なままで言い返す。
「それはあいつの自由だろ?お前が決めつけることじゃない…。」
あまりアスランと話したくないのか、
イザークのその言葉はぶっきらぼうだった。
しかし、アスランは引き下がらず更に言う。
「君がキラに好意を持ってるのは分かってる。
でも、キラのこと俺よりよく知らないくせに、
知った風な口ぶりで近づくな!!」
強い口調だがイザークに聞こえる程度に声を抑え、
アスランは牽制をする。
イザークは少し顔を歪めた。
確かに自分とキラは恋人同士だが、
幼馴染みであるアスランよりキラのことを知っているわけではない。
気持ちだけが強くて、
だけど、キラだけは譲れなくて…。
まだ自分とキラの関係を知らないアスランに、
自分達は確かに愛し合っていると言える自信がなかった…。
だから、アスランに言われたことに反論しきれない。
でも、確かにキラは自分のものであるはずだから…、
「あいつは俺のだ…。」
そう呟いて、アスランの傍から離れた。
しかし、アスランの視線はずっと背中に突き刺さっていた…。
隊長からの作戦についての説明が終わった後、
キラはイザークの傍へ行こうとした。
だが、それはアスランに阻まれた。
「キラ♪一緒にお昼食べに行こうよ。」
もうすぐ昼食の時間も近いため、
アスランが一緒に昼食を食べに行くのを誘ってきた。
「うん。いいけど…。」
イザークの方をこっそりと見ると、
しばし、こちらを見ていたが、
すぐに一人で行ってしまった。
「…あ……。」
少し寂しそうにしながらキラは下を俯いた。
それを見たアスランは、
キラを元気付けるように食堂へと連れて行った。
食事が終わった後、
キラはアスランに休憩所で話さないかと誘われたが断った。
そして、自分の恋人の所へ行く。
(イザーク…様子が変だった…。)
そう思いながら廊下を進む。
(僕、イザークに何か悪いことしちゃったかな…?)
思い当たる節が見当たらなくて、
足取りは重くなるばかりだった…。
そして、目的の部屋の前に辿り着いてしまう…。
キラは部屋の暗証番号を入れると部屋に入った。
部屋の中にはイザークが一人で呆然と宇宙を眺めていた。
その表情は酷く寂しげで、
いつもは宝石のように輝いているアイスブルーの瞳が、
やけに曇っていた。
「イザーク…。」
そう言うと、イザークは驚いたように振り返った。
どうやら、部屋に入って来ていたことにも気づいていなかったようだ。
だけどその表情はすぐにまた冷たい曇った瞳に戻ってしまって…、
その曇った瞳の奥に強い怒りの双眸を潜めていた。
「あの…その…。」
その双眸を見たためか、
何を言えばいいのか分からなくなってしまう…。
キラは呆然とイザークを見る。
ねぇイザーク?
どうしてそんなに怒ってるの?
僕が何かしちゃったの?
その理由がわからなくて、
僕はイザークを見つめるだけになっているの…。
本当はそう言いたくて、
でも言えなくて、
ただ口篭もってしまう…。
イザークは考えていた。
キラが目の前に居るのに、
大好きな人が、
大切な人が、
今自分の部屋の、
自分の前に立っているのに、
身体が動かない…。
(こんなにも好きなのにな…、
俺はアスランに敵うのか?)
自分はキラを好きで、
ただ好きなだけで…、
キラ・ヤマトと言う存在を、
みんなが知っているような当たり前のことしか知らなくて。
いつも迎えに行ったり、
朝起こしに行ったり、
そんな役目は全てアスランで…。
自分が何も出来なくて…。
イライラする…。
すると、何も言わなかったキラが口を開いた。
「イザーク…僕はイザークが好きだよ…?」
その言葉にはっとする。
キラは更に言い続ける。
「何にイザークが怒っているのか分からないけど、
僕のせいなら謝る…。」
それは違うと言いたいのに声が出ない。
「でも好きなの!!大好きなの!!
他の誰よりも…イザークのことが…。」
涙を目にいっぱい溜めてキラは言う。
その涙を見ながら、
自分のこのイライラが嫉妬だったのだと自覚する。
アスランに対する嫉妬。
キラを独占したくて、
触られたくなくて、
アスランに言われた言葉にイライラして、
何も知らない自分が嫌で、
それらは全てアスランに嫉妬していたのかもしれない。
キラは泣きながらもまだ何か言っている。
その涙を出させたの自分…。
その涙を止めたい…。
気持ちの衝動に駆られ、
イザークはキラを強く抱き寄せる。
「キラ、もう泣くな。」
キラの涙はふいに止まった。
「すまない。俺が自信を持てないばかりに、
お前に要らない心配をかけさせた。」
キラはイザークに何?と尋ねる。
「俺はアスランに嫉妬してた。
キラのことを一番に知ってて、
自分はキラのことをあまり知らなくて、
だから羨ましくて、
あいつに嫉妬してた。」
キラは驚いて目を真ん丸くする。
「だから自信が持てなかった。
好きな気持ちだけで、
キラは俺から離れて行くんじゃないかと…。」
すると、キラは寂しい顔をした。
「イザークは僕の気持ち信じてないの…?」
その言葉にイザークは首を横に振る。
「なら信じて。僕はイザークが一番好き。
アスランでもニコルでもディアッカでもなく、
イザークが一番好きなんだってこと。」
イザークはいつもの微笑みを取り戻した。
「あぁ…。そうだな、お互いの気持ちが繋がっていれば、
絶対大丈夫なんだよな…。」
キラはコクンと頷くとイザークにしっかりと抱きついた。
「キラ…好きだ…。」
何度も、何度も同じ事を呟き、
イザークは確かな自身を手に入れる。
二人の心は確かに繋がっていて、
もう誰にも壊すことはできない。
きっと明日はアスランにはっきりと言えるだろう。
こいつが俺の恋人なんだと…。
しっかりと自信を持って……。
キラとイザークって、
こう言う深い感じの愛し方が一番好きvv
少しづつ、ゆっくりと互いの愛を確認していって、
深く愛し合っていくって言う感じ?
まぁつまり、せつない感じかな。
そろそろギャグモノまた書きたいな。
おもしろいからvv
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