こんな所でアスランに再会するとは思わなかった。
だって、彼はジャスティスという機体に乗っていて、
特務部隊に配属されていて、
ザフト軍で…、
この戦闘に参加するとは思ってもみなかった……。
そして、僕と話がしたいなんて…、
言ってくれると思わなかった……。
空間
『話がしたい…お前と…。』
その言葉にドキリとした…。
彼が自分から話したいなんて言うと思わなかった。
また戦わなくちゃいけないかな…と、思ったから…。
僕は彼の仲間、友達を殺したから…。
許されるものではないだろうと思っていた…。
地面に着地した後、コックピットから出ようとしたが躊躇した。
でも、大丈夫。大丈夫と言い聞かせて降りた。
降りて前の方を見ると、彼は立っていた。
まっすぐに僕を見つめて…。
だから、僕もその目をまっすぐに見つめた…。
周りには人が集まってきていた。
見たこともない機体に、
見たこともない人物。
カガリはちょっとこっちの様子を窺っていた。
彼女は彼も知っているし、
僕らが親友同士なのも知っているから。
だけど、他の人は敵なのか、
味方なのか分からないから困惑している。
そして、僕に彼を知っているのか?
と、言わんばかりの瞳で見つめてきていた。
だけど、そんな視線よりアスランの瞳から目が逸らせない。
すぐにでも駆け寄って泣きたくて、
でも、拒絶されたら怖くて…、
二人共同時にゆっくりと歩き出す。
驚いたのは、僕を助ける為なのか、
彼を敵と思ったのか、オーブの人たちが銃を彼に向けた。
僕は咄嗟に言ってしまった。
「彼は敵じゃない!!」
アスランは少し驚いた表情を一瞬したけど、
すぐに元の表情に戻って近寄ってくる。
1mぐらいの距離をおいて互いに顔を見合わした。
互いの視線が絡み合って、
その場からピクリとも動きはしない。
周りの人たちもお互いのその空間に入っていけずに息を呑むばかりだ。
沈黙の時間が流れる…。
自分も何を言ったらいいのか分からない…。
だけど、心は泣きそうで、
今にも再会したことを喜びたくて、
愛してほしくて…、
今でもアスランが好きな自分がここに居た…。
沈黙を破るように彼がくれたトリィが飛んで来た。
僕の肩にちょこんと乗って首を傾げて僕を見る。
ついつい笑みが零れた。
まるで、頑張れと応援されているようだった。
「やぁ…アスラン…。」
笑顔のままで答えると、
アスランの碧の瞳が少し歪んで、
何を言えばいいのか分からないような顔になった。
だけど、それはほんの一瞬の出来事だった…。
突然アスランは僕を手繰り寄せて抱きしめた。
僕は彼の胸の中でビックリしていて、
何が起こったのか全然分からなかった。
現状が理解出来なくて戸惑う僕にアスランは言った。
「キラ…。」
その言葉だけで、僕は涙が出そうだった…。
拒絶されることもなく、
憎しみを込めて暴言を吐くのでもなく。
彼はただ抱きしめて、
僕の名前を呼んでくれた…。
彼が泣いているのが分かる。
僕は彼の背中に手を回して、
泣いた…。
その間、他の人たちは入るタイミングを逃してしまい、
呆然と眺めることしか出来なかった。
カガリは顔を真っ赤にしていたけど、
よかったな。と言うように微笑んで涙目になっていた。
しかし、問題が起こったのはこの先である…ιι
「キラ…。」
「アスラン…。」
やっと涙が止まって、お互い顔を見合わせた。
「心配したじゃないか…。」
彼は本当に心配していたような顔になって、
僕はついつい、
「ゴメン…ιι心配かけて…。」
と、謝ってしまった。
だけど、謝らなきゃいけないことがたくさんあって…。
「君の仲間を殺しちゃってごめん…。でも殺したかったわけじゃないんだ…。」
必死に紡ぎ出した言葉にアスランは…。
「仕方ないよ…。お互いに大切なものを守る為に戦ったんだから…。」
と、宥めるように言ってくれた。
僕はありがとう…と、言った。
アスランはほっとして、微笑んでくれた。
「キラが好きだから、これからは君と一緒に戦っていくよ。」
僕は驚いた。
つまり、これからは彼は敵ではない。
僕と一緒に戦って行ってくれるのだと…。
僕はまた泣いてしまった。
アスランはキラ?泣かないで…と、オロオロしていて、
どうにか僕の涙を止めようと必死になっていた。
「キラ…、どうしたら泣き止んでくれる…?」
そう言って、アスランは僕の目元にキスをして、
涙を止めようとしてくれた。
小さい頃、よく泣いているとアスランはそうしてくれたから…。
そうすると、僕が泣き止む事を覚えていたのだろう…。
だけど、僕は顔を真っ赤にして驚く。
だってこの場は今、たくさんの人が見ているわけだから…ιι
嫌な予感がして、周りを見渡す…ιι
すると、案の定カガリが口を開いて驚いていた…。
他の人も顔を真っ赤にしてこちらを見ている。
アスランは全然普通な顔をして、
首を傾げて僕を見てくる。
「キラ…?どうしたの?そんな顔をして?」
キラはアスランにみんなが見ていることを
再度確認させようと思った…。
しかし…。
「涙は止まったみたいだね…。良かった…。」
そうやって微笑まれると顔を真っ赤にして、
呆然とアスランを見つめてしまった。
「本当に可愛いな、キラはvv」
すると、今度は口に軽くキスをしてきた。
僕は完璧沸騰したやかんになってしまって、
下に俯いてしまった…ιι
カガリは『見るな!!』
と、言ってみんなに向こうを向かせようと躍起になっていた。
だけど、見ていた人たちは何てお似合いなカップルだろうと、
顔を真っ赤にして興味津々に見ている。
その見られていたことに恥ずかしくなって、
「アスランの馬鹿!!みんな見てたんだよ!?」
そう抗議すると、アスランは澄まし顔で、
「キラに手を出されないように先手を打っただけさ♪」
と、悪びれもなく言い切った。
「キラだって、俺のこと好きだろ?違う?」
僕は否定できなくて、コクンと頷いてしまった。
「ならいいじゃない…。見せびらかしてやればさ…。」
アスランは僕の腰に手を回して、更に深い口付けをする。
僕はアスランに翻弄されるだけで、
その口付けを素直に受け入れてしまった。
そして、口の端から溢れる程にキスをして、
アスランの唇が離れる時に銀糸の糸を引いた。
僕は立っているのが精一杯で、
アスランの胸に身体を預ける状態になってしまった…////
僕をアスランがしっかり支えてくれているのが分かる…。
そして、ぼやけた視界の中、
僕は周りに変な空気が流れてしまっていそうな気がした…。
それは本当で、女性たちは顔を真っ赤にし、
男性たちは、目を下に向けたり、後ろを向いたりしていた。
僕は恥ずかしさが募るばかりである…。
正直、アスランをかなり恨みたかったけど、
当の本人は嬉しそうで、
幸せそうで、
愛しそうに僕を見ていて…。
そんな彼を見ていたら、
僕は、彼を責める気になれなくなってしまった…。
そして、呆然と夕日が落ちるのを見ていた。
多分これから他のみんなにひやかせられながら、
生活していかなければならないのかと思いつつ…。
その反面、大切で愛しい人が、
これからはずっと自分の傍にいて、
共に歩んで行ける事に感謝していた…。
しかし、その後収集のつかなくなってしまったクルーに、
カガリは怒ってしまって…、
僕とアスランに散々説教をしてくれたのだった……ιι
39話見て、本当はこんな展開だったらよかったな。
って言う、欲望の塊小説を書きたくなりましたιι
まぁ、つまり、カガリがあの時、
二人の元に駆けつけていなければ、
アスランはこんな行動をしていたのでは?
っていう私の勝手な妄想を小説化したものですねιι
最近は王子の出番ないからアスキラ推奨モードな
私、茶碗蒸でしたとさ…ιι
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