「アスラン髪が長くなったね…。」

「そういうキラこそ少し伸びたんじゃないのか…??」

「あはは、そうかもね。」

「…。」

「…。」

「キラ…今ここに居たいと思ってるか…??」

「…。」

「…キラ…。」













for ever









オーブ近海の個人所有の島。
そこにアスランは向かった。
オーブからくすねてきたヘリに乗って。
海の上から見える島の発着所を目指して…。


そこに辿り着いて島へ上陸すると目の前に大きな家がある。
マルキオ導師が孤児たちの為に立てた家だ。
そこの玄関の戸の傍に一つアームチェアが置いてある。
「彼」の指定席になっている場所だ。
そこに彼はいつも通り座っている。
何かを一人で考えながら…。


柔らかく風になびく栗毛と、
今は闘志の篭っていない紫紺の眼差しを空に見据えて…。


「キラ。また遊びに来てやったぞ。」


そう言うと、やっと視界に自分を入れた。


「アスラン??よく来るね。」


いつもこの言葉から始まってくだらない話をする。
まぁ、お決まりのパターンと言うやつだ。


「この前来たのは一週間ぐらい前だぞ??」


アスランはカガリの護衛があったので一週間ほどオーブを離れていた。
大西洋連邦やら何やらであっちこっちの会議に行っていたからだ。


すると、玄関の奥からラクスがひょっこりと現れた。


「あら、アスランいつこちらの方にお戻りになりましたの??」


淡いピンク色の髪の後ろで括った頭を傾けて尋ねる。


「ついさっきだよ。カガリの護衛が終了したから休息をもらったんだ。」

「まぁ。ご苦労さまですわ。情勢はいかがですか??」

「あまり良くはないよ。カガリがいろいろと頑張ってる。」


ふと、キラに視線を戻すとまたキラは一人何かに思い耽っている。
あまり興味がないように…。


「キラ??」

「あっ、何??」


話を全然聞いていなかったから質問でもされたのかと思ってキラは振り向いた。


「いや、別に。何か一人で考え事ばかりしているようだから。」

「大丈夫…だよ。」


そう言っている割にはあまり大丈夫な感じではない。
おもむろにキラの傍に寄ってその手を引いた。


「わっ!?何!?アスラン??」

「ちょっと来い。ラクス、キラを借りるぞ。」

「えぇ、まぁ…よろしいですけれど…。」


ラクスは驚いたままだった。
そしてそのまま二人の姿が見えなくなるまで戸口に立ったままだった。











家の反対側の砂浜までキラを引っ張って行くとキラは手を引かれながらよたよたと付いてきた。
彼にはまったくもって訳のわからない状況である。
アスランはゆっくりと止まり、キラもゆっくりと止まった。


「アスラン??あの…何で急にこんなとこまで連れて来たの??」

「…。」


質問の答えはない。
沈黙だけが波の音と共に続いている。
そして長い沈黙の末アスランが決意したように口を開いた。


「この前聞いたこと覚えてるか…??」


それはアスランがキラに説いたことで返事はなかったことだ。


「今ここに居たいと思ってるか…だよね…。」


キラは言われたことを思い出すように言った。
それにアスランは頷く。


「あの時、お前は答えを言わなかった。『沈黙』が答えだった。」

「…。」


アスランは言うが、キラは何も言わない。


「あれはつまり肯定であり否定であってお前はどちらなのか分からないんだろ?」

「…うん。」

「何故何だ??お前は何故ここに居たくない?でも何故ここに居たい?」

「…。」


またキラの沈黙が続く。
アスランはならばとまだ語る。


「お前、この家に最初の頃は楽しそうに暮らしてたのに途中から元気なくなったよな。」

「…。」

「子供ともあんまり遊ばなくなったし、何か一人でいろいろ考えるようになった。」

「…。」

「いつものあのイスに居て、鬱みたいに何にも言わないし、ラクスは心配してるし。」

「…。」

「…。」


アスランはいらいらしていた。
キラは昔より相談しなくなった。
俺が会いにくれば愚痴るだけだと愛想を尽かしたかと思えばそうではないようだ。
周りが心配になるぐらいにはキラは様子が変だった。
ラクスもそう言っていたし、カガリもそう言っていた。
キラの母親であるカリダもそう言って悩み続けていた。
なんだかどうすればいいのか分からなかった。


「俺がお前の傍に居てやれればよかったのかもな…。」


溜め息交じりにそう告げた。
自分は身の置き所もなく、かと言って力を持て余すのは嫌いだった。
多少自意識過剰なのかもしれない。
だからその力をキラの兄妹であるカガリを守ってやることに使おうと思った。
キラに話した時もキラも「君が守ってくれるなら安心だ。妹を頼む。」と、言ってくれたのに…。
しかし、キラを蔑ろにしてきたわけでもない。
会いに来れる限りは会いに来た。
2日連続で会いに来た日もあれば、そのまま泊まって仕事に行ったこともある。
だが、キラは日に日に元気はなくなってしまった。


(どうすればいい…?どうすればお前は何かを話してくれるんだろう…。)


そんな風にキラに背中を向けながら考えていると突然服の裾を掴まれる感覚がした。
振り返るとキラが下を向きながら自分のYシャツの裾を引っ張っていた。


「…キラ…??」


突拍子のことに今度は自分が驚いている。


「…    …。」


聴こえない、か細い声で何かを伝えた。


「…何…?聴こえないよキラ…?」

「…バカ…。」

「へっ?」

「バカって言ったんだよ!!このバカ!!」

「な…何を急に…。」

「僕がどんな気持ちだったと思う!?一緒に暮らせるって思ってたら数日で居なくなるし!!」

「キラ??」

「自意識過剰過ぎなんだよ!!そんなにカガリが好きなの??」


何がどうなったのかキラが糸が切れたかのように怒り始める。


「僕のこと好きじゃないの!?見送った時の僕の気持ち考えたことある??」

「置いてかれた僕の気持ちも!?」

「来たと思えば腑抜けて話してるしさ!!少しはどうしたんだとか聞いてよ!?」


キラは延々と怒り続けた。
そしてあらかたいい終わるとはぁはぁと荒く息を吸った。


「言いたいことはそれだけか?」

「一応それだけ…。」


するとアスランはキラを思い切り抱きしめた。
キラはまたまた驚いた。


「何!?」

「ごめん…。」

「アスラン…?」

「そうやって言ってくれればよかったんだ…。」

「…。」

「ごめん…本当にごめん…でもちゃんとキラのこと好きだから…。」


何回もごめんと謝るとキラの肩の力が抜けていく感じがした。
ほっとしたような、今までの悩みがなくなっていくような…そんな感じだ。


「でも、今の仕事を投げ出したりはしたくない。」

「…うん。」

「やっぱり今は状況があまりよくないからさ…。」

「…うん。」

「ちゃんとこの問題が解決して、本当の答えが出たらここで一緒に暮らそう…。」

「…うん。」


キラは泣きながら頷き続けた。
華奢な身体を震わせながら…。










しばらくして、キラは泣き止み、浜辺で二人肩を寄せて座っていた。
くだらないけど、確実に和解の後の楽しい話を…。


「カガリが今度暇が空いたらキラと遊びたいって言ってたぞ。」

「本当?僕もカガリと遊びたいな。最近あまり話してなかったし。」

「そうだな。今度はちゃんと会話できるよな?」

「うん。もちろん。」


本当に他愛のない話で、でも心はとっても穏やかだ。


「あっ、そうだ。ずっと渡しそびれてた物があるんだ。」

「何?アスラン?」


ごそごそと胸ポケットをあさって何かを手に掴む。


「手、出してごらん?」


キラは両手を不思議そうにアスランに差し出す。
アスランはその手の上にそっと小さな箱を置いた。


「中身、開けて?」

「う、うん。」


キラはドキドキしながらリボンを解いて、包みを外す。
中には黒い小さな箱が入っていた。
そして、それをゆっくり開けた。


「これ…。」

「うん。キラが不安にならないように。」

「…でも。」

「いいんだ。キラがずっと好きだよっていう証だよ。」


キラの手に収まっている箱の中身は綺麗な指輪。
アメジストが入った銀の指輪。
それを見るキラの瞳も紫紺の瞳からアメジストのような輝きに変わっていた。


「キラ、左手に嵌めてあげるから貸して。」

「えっ?うん…。」


キラは頬を染めながら左手をアスランに差し出した。


「キラ…大好きだよ。」

「僕も、アスラン…。」


指に通した指輪はキラの指にピッタリでキラはちょっとだけ驚く。


「よく分かったね?僕の指のサイズ。」

「キラが寝てるときにこっそり計ったんだvv」

「!?」

「そんなに驚かなくても…;;」


勝手に計るなんて、と怒ってやりたい気持ちもあったがキラは逆に笑ってしまう。
多分自分が寝ている間に起こさないようにそっとおどおどしながら計ったのだろう…。
そんなアスランを想像して愛着が湧いてしまうのだ。


「今度の時は僕がアスランにプレゼントするね。」

「ああ、楽しみにしてるよ。」


そうして二人はまたしばらく海風に当たっていた。
この後、あまりにも帰りが遅かったのでラクスに怒られるともしらずに…。















なんて言うか、ちょっと適当なネタくさい…;;
自分が鬱入ってたのはきっとこんな理由が!!
って押し付けて考えたネタだしな…。
できればデス種に入ったんだからそろそろシンくんたちも出したい。。。
レイ様とかも書いたら楽しいんじゃないかと思われる。
とりあえず、私の妄想と腐女子フィルター張って書くか(笑)
まぁ、次回の作品も楽しみにしてくださいと言う事でvv






SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送