『昔、昔…
創世の神がまだこの世に居た頃、
世界には、
人間、
魔族、
神族、
竜族、
エルフ族など、
様々な種族が居ました…。
そして…、
歴史の中でもっとも古いのは、
神魔聖族と呼ばれる、
今は亡き創世の神に愛された存在がおりました。
しかし、今はその種族は全滅したのでした…。
神に愛された者達は、
神がこの世から消える時、
共にこの地から消えてしまったのです…。
そして今は、
この世を統治するのは、
魔族、
神族、
人間の3種なのです。
この3つが共にバランスを保っているからこそ、
この世は永遠に続いているのです……。』
〜歴史〜
「ねぇ、ねぇお母さん、どうしてその種族は滅んじゃったの?」
話を聞いて男の子は座って居た椅子から立ち上がって、
母親のもとに駆け寄った。
男の子はその種族が滅んだ理由がとても聞きたそうである。
子供は勉強家で熱心である。
何事にも興味を持って純粋で真っ直ぐに質問をしてくる。
そんな子供の成長を嬉しそうに見る母親のアイルは、
将来は有望な子になるだろうと思っていた。
「あ、お前だけずるいぞブルー。お母さん俺もその話聞きたい!」
もう1人の男の子は母親に引っ付いているブルーとは反対側に駆け寄った。
「ルージュはお母さんにくっつくとすぐ怒るな。」
そう言って溜め息を付くブルーとルージュは双子の兄弟である。
アイルはこの2人は性格が正反対だなぁと常々思っている。
冷静で且つお兄さんなブルーと、
明るく元気でこれぞ弟といったルージュ。
まぁ、兄と弟の違いははっきりしている感じである。
アイルはこらこらと言った感じで2人を宥める。
「それじゃあ2人共、この歴史物語の中で何故神魔聖族が滅んでしまったのか分かる文章があるから、話して上げる分きちんと聞きなさい。」
2人は同時にこっくりと頷いた。
「よろしい。んじゃその部分の物語を読むわね。」
『ある時、
突然、神族と魔族が戦争を始めました。
人間はそれまで神族やら魔族やらの存在はあまり知りませんでした。
魔族は昔から歴史の中で悪戯や人間を襲ったりと言うことも言われたり、
死神が魂を狩りに来るのを見たとも言われる程度。
神族も下級の人間がエンジェルと崇める天使がお告げをしたり、
奇跡を起したと言われる程度の存在だったのです。
それまで、人間たちは竜族やエルフ、
ドワーフや妖精たちなどとしか関わりがなかったからでした。
それが、突然姿を現したかと思ったら、
人間界の上空で戦争を始めた為人間たちは驚きました。
これが後の歴史に語られる天魔戦争の始まりだったのです。』
「へぇ、つまり戦争は神族と魔族が突然始めちゃったんだ?」
あっけらかんとルージュが言う。
「まぁ、そういう事になるかしらね…。」
アイルはまぁ妥当な事を言ってるなと納得する。
「詳しくは分からなかったの?」
しかし、ブルーはそんなことにまできちんとした答えを求める。
アイルは真面目だなぁと思ってしまう…。
「詳しくはよく分かっていないの。まぁ人間たちが残した歴史文章だからね。
人間たちは突然お空の上で戦争を始められたから良く分からなかったんじゃないかしら?」
それに2人は納得したような顔をした。
「さてさて、その続きを話しましょうか。」
「「うん。」」
『神族と魔族の戦争は激しい物でした。
全てを薙ぎ払う力。
空間を歪めたり、
人間たちが到底手に入れる事の出来ない能力を有した存在。
その戦火は地上にも影響を及ぼしました。
他の種族たちはなんとか辛うじて力を弾き飛ばしたり、
被害を最小限に抑える術を持っていましたが、
人間はいくら魔法が使えるからと言ってもそこまで防ぐ力を持っていませんでした。
地上は血の惨劇とあらゆる建物や大地を奪い去るところまでになりました。
人間たちは天上で行われている戦いをただ黙って見ているしかありませんでした。
祈りを捧げて、救いを求めてきた神が戦争を起している為にどうしようもなかったからです。
この時、この世界に嘆きを訴えたのが創世の神でした。
創世の神、後に歴史に創聖主と呼ばれる神は神魔界と呼ばれる特別な世界からこの世を見下ろしておいででした。
神魔界は神の聖域ではないかと言われる世界でほぼ人間たちには想像でしか及ばない世界でした。
人間たちの考えでは神聖な空気と創世の神が住んでいる為、
世界樹の生えているような新緑の森であったのではないだろうかと後に話す人も居ました。
創聖主は言いました。
『何故争い合うのかと。』
足元にある大地に害を及ぼし、
関係のない平和な世界に生きていた人間たちを巻き込み、
叫びと痛みしか伴わない争いを続けてなんの意味があるのかと。
そして、創聖主はこの世に降臨したのです。
片翼に天使の羽を6枚、もう片翼に悪魔の羽を6枚持った壮大な姿で、
傍に神魔聖族を携えてこの戦争を止めるべく現れたのでした。
この時、人間たちは初めてこの世の本当の神は創聖主である事を知りました。
この大地を作り、
自分たちを作り、
生きとし生ける者を作ったのはこの神なのだと…。
その神は本当に必要な時に現れる存在であり、
この世の終焉になるようなラグナレクが起こった時に、
天上からこの争いを止める為に降臨したと…。
この時一条の光が起こり、
突然世界の全てを白く染めると何故か神族と魔族の争いは収まり、
お互いは己のしたことを悔い改め、
平和の息吹を取り戻したのでした。』
「それでお話は終わり?」
「ううん。まだ少しお話は先があるわよ。」
「えぇ〜でも、おかしくね?なんで突然光が現れたら神族と魔族が仲直りしちゃうわけ?」
ルージュは突然不満をもらした。
この話の筋が通っていないのに納得が行かないらしい。
「これは人間たちの憶測にしか過ぎないけれど、
創聖主は何かの言葉を天界の神と魔族の王に言った後に、
争いという醜い心を浄化したのではないかと言われているそうよ。」
「ふむ、それだったら分かるかもね。」
「それで、それが何で神魔聖族の滅ぶ事に繋がるの?」
またまたルージュが質問し始める。
どうやら1つ納得が行かないことが解決すれば次の問題が出てくるようだ…。
アイルは溜め息をもらす。
「だから、この話には続きがあるって言ったでしょ?」
「あ、そうか。」
「もう少し黙って聞いてなさい。」
そう宥めるとアイルはまた話を始める。
『その戦争が終わった時、
空に現れた創聖主には異変が起こりました。
創聖主の姿が消えて行くのです。
創聖主は自分の魂と引き換えに争いの心を浄化し、
互いに共存していく心を持たせたのでした。
そうして、創聖主の姿は光の灰となり、
この大地へと広がって行きました。
するとなんと、戦争によって破壊された大地に緑が蘇ったのです。
そして、犠牲となった人間たちさえも生き返らせたのでした。
しかし、創聖主と共に生きて来た神魔聖族たちには、
創聖主の放った光は滅びの光となってしまいました。
きっと、創聖主はこの世に自分たちの存在はもう要らないと思われたのでしょう。
ならば共に滅びの時を迎えようと創聖主は自分と共に生きて来た神魔聖族を一緒に連れて行かれたのです。
神魔聖族たちは共に光の灰となりこの世から消えて行きました。
更に創聖主の魔力により存在していた神魔界も均衡が崩れ崩壊しました。
後に残った種族たちは今度こそ創聖主が命と引き換えに守った世界を大切にして行こうと誓ったのです。
この時、地上代行者として存在した救世主が魔族と神族の長たちと血の血判を交わしたのでした。
共にバランスを崩さずに生きて行こうという証です。
神族の長ロード・オブ・ナイトメアはこの世の神となり天界の世を支え、
魔族の長カオス・ニードルは魔の族が人間を襲わないようにしながら魔界の世を支え、
地上代行者であった救世主はこの世に争いが続こうとも他の族とは争いをせず均衡を保ちこの世が続いて行くこと誓ったのです。
こうして世の中でもっとも悲惨でもっとも世界が1つとなった天魔戦争は終止符を打つこととなったのでした…。
しかし、もうこの世に真の創聖主は居ません…。
つまり、自分たちの足でこの大地に生きて行くしかないのです。
人々は強欲です。
きっと争いは続くでしょう。
但し、人々は他の種族への争いはしません。
つまり、この大地で全ての種族が居なくなる事はきっとないでしょう…。
創聖主が齎した力はこうして永遠に語り続かれて行くのです。
私たち、生きとし生ける者が存在する限り……。』
「さて、歴史に語られる内容はこれで終わりよ。何かまだ他に聞きたいことはある?」
「「…。」」
「あれ?;どうしたの?2人とも黙っちゃって…。」
話が終わったが2人の反応が今度はおかしい。
どうしたものかとアイルは悩む。
すると、
「創聖主はこの世が続く為に犠牲になっちゃったんだね。」
ブルーが悲しそうに呟いた。
しかし、アイルは笑顔で答えた。
「違うわ。この世界が誰よりも好きだから守っただけよ。」
それから2人の顔を上げさせた。
「いい?犠牲って言うのはどうしても他に誰もいないからって仕方なくやる事を言うの。」
2人の目を見てしっかりと話す。
「だから、神様に対してその言葉は不適切だと思わない?」
そう言うと、2人はこっくりと頷いた。
アイルは更ににっこりと笑って話し掛ける。
「これは、伝説的な話だけれど、実際に起こった歴史でもあるの。
私たちは人間であるのだから、人がより良く、長く生きる為に平和を大切にして行かなければならない。
だから、私はこの学園の理事長として、生徒ももちろん大切だけど、
戦争で起こる悲しみや生活で苦しんでいる人たちが少しでも楽に、
平和な暮らしを送れる為に努力してるのよ。
だからブルーもルージュも覚えていて?
生きとし生ける者が、子孫を残し、この世がいつまでも続く事が神様が望んだことなんだってこと…。」
アイルはそのまま2人を抱き寄せた。
2人は少し照れ臭そうにしている。
「さてと、お話は終わったし、お母さん仕事に戻らなくちゃ!」
「うん。頑張ってねお母さん。」
「俺たち応援してるよ。」
2人に見送られてアイルは部屋を後にする。
「書類山積みで逃げて来たってのは内緒にしとこ…。」
えぇ、なんとなく天魔戦争の部分が書きたかったです。
世界観の部分に書かれているだけで具体的なことってよく分からないから、
せっかくだし書いてみよう的な考えで書きましたw
良い物に仕上がったとは思います。
しかし、私は未だに言葉が難しくて上手く文章には書き表せないのが難点です;
日々精進するように心掛けます;;
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