心臓が痛かった…

黒い心臓が…

自分の精神的な物にさえ反応してしまうこの心臓が…







分かりきっている…

自制しろ…

制御しろ…

制圧しろ…

負けてはいけない…








こんな姿は…

親友に…

最愛の人に…

見られては…















イケナイ……










A serious illness
〜重症〜








自分の持っている特徴…。

輝きを放つほどの漆黒の髪、
黒水晶の様に底が見えない漆黒の瞳、
白くてきめ細かい白い肌…。





それを包む漆黒の服…





俺の世界は黒く包まれている…。



そんなことを思いながらゼウスは鏡の前に立った…。



昔、一度友人であるクラリスに言われた言葉があった…









『お前、たまに変に色気がある瞬間があるよな…。』









その言葉を聞いた時、何も言えず自分は固まってしまった…。



まだ誰にも言えない、自分の過去…。
それを知った時、親友である2人は何をどう思うだろう…。



しかし…、自分の過去が2人よりも重いということはない…。
あの2人もいろいろなものを背負って生きているのだから……。






それは、
自分よりも更に深く、
更におぞましく、
壮絶な世界であろう……。






特にシャウドが見てきた世界、
味わって来た世界は、
想像を絶するほどのものであろう…。






けれども、
それを理解していいのも、
その世界を知って理解をし、
その全てを受け止められるのは、
同じように深く暗い過去を持つクラリスのみ許される世界なのだ…。






だが、自分にその事は何も関わりはない。
だから、自分の世界が、
自分で勝手に価値をつけて、
言いたくない、
聞いてほしくない、
触れてほしくない…、
そう思えるものなのだ…。











鏡の前に映る自分…。
それが元の『元凶』に似ているのが1番嫌いなのだ。



だから朝はまず洗面台に向かい、
誰にも見られないうちにワックスやムースなどで髪型を変える。



まるで儀式のように毎日行うことである……。


























「おはよう、ゼウス。」



お昼頃になると、いつものようについ近頃恋人になったシャウドがひょっこりとやってくる。



「おはよう、シャウド。って、もうこんにちはになる時間かもな。」



そうにっこり笑うとシャウドもそうだね。と納得したように笑って頷く。



ここ最近は2人で昼と夜は取るように心掛けている。
と、言っても仕事が多いシャウドは出張やアイルのプレゼンの手伝いの際には一緒に食事を取る事は不可能だが、
出来る限りは2人で食事を取ることを取り決めたのだ。



















シャウドが戻ってきて、
俺たちが付き合うようになってから後、
学園は今のところ平和そのものだ。



シャウドファン(本人は気付かれないようにこっそりとだが)が復活して、
今まで静かだった学園は一気に賑わいを取り戻した。



元々明るく元気な校風が持ち味な学園だが、
女たちが…、と言う別な意味で学園中活気が戻ってきたのだ。



シャウドが戻ってきたことによって、
元々やっていたモデル業のところからの取材や撮影のオファーは来るし、
学園のあちこちから一目見ようとちょろちょろと人は沸いてくるしで、
シャウドはまるで動物園のパンダのように人に追われる生活をしながら仕事をこなし続けている。









その平和がいつガラガラと音を立てて崩れていくかは今のところは本当に分からない。










シャウドはきっとクラリスに手紙を書いたであろう…。
クラリスを呼び出すには条件は揃いきっているのだから…。



『クラリスと仲の良かった親友』である俺を、
自分の『恋人』と言う駒として手に入れることに成功したのだから…。








でも、傷付くのを知りながらあえてその策に乗ってしまっている俺は、
よっぽど精神的に追い込まれたいM的思考でも持ち合わせているんだろうか?



たまにそんな風に自分を卑下したくなってしまいたくなる。



クラリスが帰って来てしまったら、
学園はいつもの通り穏やかに流れても、
俺たちの関係は穏やかではなくなってしまうだろう…。



その時、俺はどのように落ちていってしまうのか…。
シャウドはどのようにクラリスを取り戻すのか…。



俺にはきっとその流れの中に流されるままで、
シャウドの心の中や、
クラリスとの関係の流れを見ることは許されないのだろう…。



傍観者どころか、
たまたまとばっちりを受けるのに利用出来る駒が居た程度で終わってしまうかもな…。























「ゼウス…?ご飯おいしくないの…?」



ぼーっと考え事をしていので不安気にシャウドが覗きこんでいたことにさえ気づかなかった自分は驚いた。
まさか、食事中にずっと考え事をしていて、
それでシャウドに不安を与える結果になるなんて思ってもいなかったからだ。



「えっ!?あぁ…ごめん。仕事のことで考え事をしてたんだ…。ご飯はおいしいよ。シャウドが作ったんだからな。」

「そう?」



何とかシャウドは納得した様子でご飯を食べる事に戻ってくれた。











今更そんなことを考えてももう遅いのだ。
流れに乗った以上は最後の審判が下るまでは止まることを知らない濁流のように流れて行くしかないのだから…。


















ご飯を食べ終わった後、
シャウドは仕事があるから、と自分の部屋に戻る支度をして部屋を出た。
俺はシャウドの姿がエレベーターの向こうに消えるまで見送ってやった。



扉がパタンと音を立てて閉まると、
ふっ、溜め息を吐く自分が居た。



「全く、2人きりの時に何を考えてるんだ俺は…。」



何だかこの暗い地下の場所に居ると何事も物憂げに考えてしまってしょうがない…。



気分を変える為に午後の仕事を後回しにして外に出かけることにした。
と、言っても行き先は決まっているのだが…。



















「よっ、店は盛況か?」



そう言って入ったのは自分のお気に入りの黒服をメインに扱っている服屋である。
学園の外の市街地に存在するこの店だが、
女の子に追いかけ回されている時にたまたま発見したのだ(汗)



「おっ、ゼウスさん。今日も新作入ってますよ。よろしかったらいかがです?」



ここの店主は良い奴だ。
世の中、こんな奴がごまんと居ればいいのに…と、切に願ってしまう。



「マジか、是非見せてくれ。」



そう言うと、店主は店の奥からズラリと新しい新作の服を出してきてくれた。
見るもの全て黒の服。
こんな服が好きなんてつくづく自分の過去を呪うばかりだ…。
まぁ、色も良いしデザインはいいから嫌いじゃないけどな…。



「へぇ、今回も良いのあるね…。この1番右のと、真ん中のヤツを貰っていくかな。」

「毎度あり♪いつもありがとうございます。」

「いや、いいよ。ここの服屋は俺のお得意先みたいなもんだし。」



店主にお金を払い、袋に入れてもらうと挨拶を交わして店を出た。
今日の空はとても澄んだ綺麗な蒼だった。



歩きながらポケットから煙草を取り出して火を点けた。



すると、路地を出て学園へ戻る道の途中で変な連中に道を塞がれた。



(あっ?なんだこいつら…。どいつもこいつも野郎ばっかじゃねぇかよ…。)



「アカデミー学園裏薬品部門所属のゼウスさんで、良いのかな…?」



モデル並みの男たちの代表なのかよく分からない1人に質問された。



「そうだけど…。おたくら何?」

「シャウドさん…。知らないわけじゃないよね?親友扱いされてるぐらいだし…。」



その言葉にこの男たちがシャウドを尊敬するモデルたちっぽいなぁ…とゼウスは思った。
まぁ、この手のとばっちりはよくある。
何となく…だがこいつらが何を言おうとしてるのか大体だが分かった。



「何…?シャウドには俺は不釣合いだとか言いたいわけ?」



まるで的を得たように男たちは驚いた。



(またかぁ…。こう言うのは慣れたけど、精神的にやっぱ辛いんだよなぁ…。)



ゼウスはどっぷり溜め息をついた。
その様子を見て男たちは頭にきたようだ。
突然首元を掴み上げてきた。



「てめぇ!!シャウドさんに本当に不釣合いなんだよ!!」

「そうだ!!庶民出らしいし、大した力もないくせに!!堂々と親友面すんなよ!!」

「シャウドさんは俺たちモデルの憧れと尊敬の人なんだぞ!?お前と居たら品位が下がるだろうが!!」



ゼウスの耳には散々罵倒が入ってきた。












『不釣合い』

『品位が下がる』

『友達面するな』

『穢れるから離れろ』

『能力がないくせに』

『高貴な方なのに』

『クラリスさんは良いんだ』
















そんな台詞は耳にたこが出来るぐらい聞かされ続けた台詞だった。







シャウドのファンに、
学園の一部の生徒に、
他の国のお偉いさんに、
貴族とか金持ちに、







罵倒や誹謗、中傷、暴力、なんでもあった。
それでも耐え続けたのはシャウドが俺を友達だと言ってくれていたからだ。













「…るせ……。」

「はぁ!?なんか言ったか!?」



俺は胸倉を掴んでいたヤツの腕を掴んで地面に投げつけた。



「うるせぇって言ったんだよ!!」



突然の反撃に男たちは呆然としていた。
すかさず俺は続けて言う。



「お前らただの僻みにしか聞こえねぇんだよ!!俺はシャウドがダチだって言うならダチなんだよ!!」



そう言って罵倒を浴びせまくってきた連中を全員ボコボコに潰してやった。
自分に降りかかってきた火の粉を払うことが出来なければシャウドの親友なんてやってられないからだ。



モデル顔の男たちを殴った後はそのまま学園へ何もなかったように帰って行った。
自分で身に付けた体術やら暗殺術なんかが役に立ってよかったなぁ…とこういう瞬間思う。



















部屋に戻るとまた考え事を始めた。



なんで、俺なんかが親友で良いんだろう…って。



確かにシャウドは俺のことを利用出来る駒と思っては居るだろう。
でも、あくまでクラリスを仲介した場合にのみ、それは発生する条件なのかもしれない…。



俺に力は無い。
シャウド程に優秀じゃないし、
全知全能でもないし、
クラリスみたいに医療のスペシャリストで、
かっこよくて、
シャウドとタメはってられるような身分でもない…。



だから常に思う…。






『オレハ本当ニ友達ト名ノッテイイノカ?』







そう思うと胸が痛い。



呪われた血と、
心臓と、
汚れた心と、
汚い身体…、



そんなものしか持っていない俺なんかが傍に居ていいなんて思ってない!!
調子こいてなんかいない!!






だから俺を断罪しないでくれ!!
罵倒を浴びせないでくれ!!
俺の心をこれ以上傷つけないでくれ!!






そう思うのに、何故傷付く道しかないのだろう…。
心の中はズタズタで、
傷付いて、
壊れてしまいそうで、
精神的には重症で、
心臓と言う器は儚いもので…、






精神的ストレスは俺の心臓に針のようにチクチクと刺さり始めた……


















「…ごほっ!」





「…うっ…。」















ドクン!!
















次に見た光景は人間には有り得ない…

黒い血溜まりの海だった…



























え〜…なんて言うか急展開です…。
話ごちゃごちゃですいません…。
文章能力の低い茶碗蒸が書くからこんなことになるんです…。
見直してないから多分日本語めちゃくちゃです。
日本語勉強し直した方がいいなぁ…(遠い目)






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